ある意味、悟りだと思う

最近自覚したことだが、不思議な特技が身についていたようだ
 
中学1年のとき、理由もなく決めた
「殺生はしない」
という自分ルールがある
 
気づかずに踏んでいるであろうアリとかを除いて、
完璧とはいかないまでも守ってきたこのルール
 
ルール施行当初は、部屋に蚊とかコバエとかが入ってくると大変だった
殺生はできない、でも放っておくこともできない
奴らが部屋を飛び回っているのはとても嫌だ
 
一般人やムシが嫌いな人ほど、一刻も早く退治するだろう
なるべく接触しないために紙をまるめた棒などで叩くのが常套手段か
自分ルールがある限りそれはできないので、窓から逃がしたりうまく誘導して部屋から出すしかない
 
あれから10年以上が過ぎた
今、俺は飛んでいるムシですらティッシュ一枚で捕獲できる
ハエとかもとまっているところをそっとティッシュで包める
普通の人がやると奴らは逃げてしまう
でも俺がやるとむしろ俺の手に吸い込まれるように入ってくるのである
 
「殺生はしない」という自分ルールが、いつしか彼らに対する殺気を消し去り、
俺は捕獲術を身につけた
ある意味悟りを開いたと思った
 
しかし、極めたとは言えない
極めたとはそう簡単に口にできる言葉ではない(とある破戒僧の談)
テレビで見たどこかの民族は、腰布一丁のみで蜂の巣をとり、ハチミツをゲットしていた
もちろん周りはハチだらけ
さすがに真似できない
 
さらにいえば、ムカデ、ミミズ、ケムシ等のゲテモノたちは、ティッシュ一枚でつかむのはお断りである
それは拷問だ
でかいクモもちょっと嫌だ
彼らがもし部屋に侵入したら、かなり苦戦するに違いない
昔、一度ヤスデと戦ったことがあるが、そのときは箸でつかんで外に逃がした
つかんでから外に持っていく間、自分の足の上に落ちやしないかとプルプルしてた
 
箸は最強の武器だ
日本人でよかった
箸が使えて本当によかった
これが大和魂